US進学総合研究所

多子世帯・私立理工農系進学者向け奨学金の説明会が各大学で開催。再度、この給付奨学金について考えてみる


2024年4月19日(金) US進学総研

年収600万程度・・・奨学金が、もらえるともらえないは大違い

 2024年度より、子育て支援の観点から、奨学金制度の改正(授業料減免等の中間層への拡大)が行われた。新たに対象になったのは、多子世帯と私立理工農系進学者の中間層。多子世帯とは、扶養する子の数が3人以上である世帯を指す。私立理工農系進学者の対象学科については、文科省のホームページから確認することができ、この対象学科に在学している学生が奨学金の対象となる。中間層とは、年収380万程度から600万程度までの世帯を指し、様々な条件により年収が変わるため、「約」や「程度」という表現が付いている。
 対象か対象でないかで大きな違いがあるので、特に気になっているのは、今回の対象に新たに加わった、年収600万年程度の家庭ではないでしょうか?

奨学金の対象なのか対象でないのかは、「支給額算定基準額」で決まる

 年収600万円程度までが対象であると言っても、給与所得者かどうかや、家族の人数などにより、奨学金がもらえるかどうかの年収額は異なってきます。実際には年収で計算されているのではなく、「支給額算定基準額」で決まっています。その算出方法は以下のようになっています。2024年度春の募集は、2022年の年収が対象となり、マイナポータルを活用すると、計算に必要な「課税標準額」などが分かり、対象かどうかの計算をすることができるようです。2025年度予約採用は、2023年の年収が対象となります。2024年10月から児童手当が高校生で月1万円、第3子以降は3歳~高校生で月3万円となることで、扶養控除額の変更があるかもしれません。この扶養控除額の変更により、「課税標準額」が変更になり、奨学金の対象でなくなる可能性もありますので、ギリギリ対象になっている方は、特に確認する必要が出てくることが考えられます。

※進学先が「高等教育の修学支援新制度」の対象機関になっていることや、不動産を除く金融資産の条件、学力に関する条件は前提になっています。

■進学後(在学採用)の給付奨学金の家計基準
※この中に進学資金シミュレーターへのリンクがあります。

■2025年度進学予定者【高校生等対象】奨学金の家計基準の判定について
※この中に支給額算定基準額・貸与額算定基準額判定ツールへのリンクがあります

2025年度以降、多子世帯は分かりやすいが、私立理工農は、やはり分かりづらい

 2025年度以降、多子世帯は年収制限なしとなり、私立大学(昼間部)であれば授業料減免を最大70万円受けられることになります。3人扶養しているという点をクリアしていれば、授業料の減免を受けられるため、とても分かりやすくなりました。しかし、私立理工農の方は、2025年度以降も、今のところ年収制限があります。年収制限が分かりづらいという点もありますが、対象学科の指定が分かりづらいという点もあります。理工農となっているので、理学部・工学部・農学部が対象となるのは、分かりやすいのですが、文理融合も今回の指定には含まれるため、これがどこまでなのかが分かりづらくしています。

■私立理工農対象学科(文部科学省)

■2024年度からの「高等教育の修学支援新制度の中間所得層への拡大に係る対応について(第4区分)」

国家資格で見ると、管理栄養士・臨床工学技士の養成学科が分かりづらい

 管理栄養士と臨床工学技士の養成学科は、工学部や農学部など学科が設置されている場合と、家政学部や保健学部などに設置されている場合とで分かれています。ただ、どちらに進学しても、受験資格を得ることができる点は同じです。すなわち、カリキュラムは共通している点が多いということです。それなのに、ある学科は、私立理工農奨学金の対象となって、ある学科は対象となっていないということが起きています。これは、公平ではないので、なんとかすべてが対象となるようにしてもらいたいと思います。ここでは、取り上げていませんが、臨床検査技師養成学科についても同じことが言えます。

学部学科名に「データ」「デジタル」が入っていると対象?「社会情報」「情報デザイン」など文理融合っぽい学科はたくさんあるけど、どうなっているのか?

 昨今の文理融合学科の代表は、「データサイエンス学科」。しかし、これ以外にも、「情報」が学科名に含まれているものも複数あり、学科説明の中にも「文理融合」を謳っているものも多く存在している。そうなると、ある学科が対象であるならば、この大学の学科も対象にしないとおかしいという話が複数出てくると考えられます。判断がとても難しくなっているのですが、もう少し分かりやすく考えることはできないかと考えています。学科名は文部科学省に申請して認可されたものや、届け出て受理されているものなので、カリキュラムの内容に沿った名称が付けられているものだと考えられます。ということは、学科名に「情報」が入ってさえいれば、文理融合の内容が一定割合含まれていることをさしていますので、学科の名称で決めていくのもありなのではないかと思いました。このように、学科名だけで判断した場合に、私立理工農奨学金の対象学科になる可能性があると思うものをピックアップしてみました。

※US進学総研が、学科名などで判断したリストになります。実際は、学位の分野が「理学」「工学」「農学」の学部学科を対象(学校基本調査の分類を活用)とすることを基本としています。

対象リスト① 「データ」「デジタル」が含まれる学部学科

対象リスト② 「社会情報」「情報社会」「情報デザイン」「情報メディア」「メディア情報」が含まれる学部学科

対象リスト③ 「文化情報」「人間情報」「経営情報」「医療情報」が含まれる学部学科

対象リスト④ その他「情報」「リベラルアーツ」が含まれる学部学科、防災系で文理融合学科

2024年度からの奨学金制度の改正(授業料免除等の中間層への拡大)に係るFAQ

 日本学生支援機構のホームページには、FAQも追加で掲載されています。「理工農系支援」のところを抜き出してみると、以下のような記載になっています。年収制限がありますので、対象者が限定的であることも事実としてありますが、金額が大きいこともあり、当事者からすると、問題は大きいです。このあとも、対象学科の追加が出ることを期待したいと思います。

問13 理工農系支援の支援対象は、どうなるのですか。
⇒ 私立の大学・短大・高等専門学校(4・5年生)・専門学校に通う学生の方が対象となります。

問14 理工農系支援の場合、支援額はどの程度でしょうか。
⇒ 授業料の人文社会科学系等との差額に着目して授業料等減免で支援を行う予定です。

問15 理工農系支援の対象校(対象学部・学科)は、どこになるのでしょうか。
⇒ 対象となる予定の私立学校の理工農系学部・学科について、リストを公表しています。
以下のリンクから御確認下さい。

問16 理工農系支援とは、どの学部・学科が対象ですか。学部・学科の名称だけでは判断つきません。
⇒ 例えば、「データサイエンス学科」、「コンピュータシステム学科」、「環境創生学科」など、「理学」・「工学」・「農学」といった言葉が学部・学科の名称が入っていない場合でも対象となる場合があります。各学校から申請された後、文部科学省において確認・審査を行い、対象となる予定の私立学校の理工農系学部・学科のリストを公表しておりますので、具体的な学部・学科は上記のリンクから御確認下さい。

問17 多子世帯支援と理工農系支援の両方に該当する場合、どちらが優先されますか。
⇒ 原則、多子世帯の支援となります。
なお、2025年度から多子世帯の授業料等が無償化されますが、理工農系支援は2025年度以降も引き続き支援されます。また、2025年度以降、多子世帯支援と理工農系支援の両方に該当する場合は、多子世帯の支援となります。

お気軽にご相談ください!